概要文:何かが流行するたびに、その流行の使い方を教えるコンサルタントが後を追うように現れます。この記事では、AIブームに乗って急増している”紹介型”のAI顧問・コンサルティングがなぜ淘汰されていくのかを整理し、AIを本当に利益へ変えるために必要な視点を紹介します。

【結論】

AIそれ自体は利益を生みません。利益を生むかどうかを決めるのは、AIを使う側の知恵です。ツールの便利な使い方を紹介するだけの”紹介型”AI顧問・コンサルティングは、情報が民主化されるほど価値を失い、いずれ淘汰されます。AIを本当に利益に結びつけるために必要なのは、人間のひらめきや経験から得たノウハウを使い、AIの効率性を相手のニーズへ橋渡しする「ずらしの技術」です。

なぜ流行するたびに”その流行りを教える人”が現れるのか

Zoomが流行った時期には、Zoomを使ったマーケティングやビジネスの始め方を教える塾が急増しました。そして今、AIが流行れば、AIを活用しましょうと呼びかけるコンサルタントが次々と現れています。

流行が生まれるたびに、その流行の使い方を教えるコンサルタントが後を追うように現れるのは、情報を売る側にとって流行に乗ることが最も効率よく注目を集められる手段だからです。 中には、カメレオンのように毎回その時々の流行に乗り換えているだけの発信者も少なくありません。流行りのツールを教えること自体が悪いわけではありませんが、そこに本質的な価値があるかどうかは、別の問題として見極める必要があります。

なぜAI導入企業のうちわずか5%しか実利に結びついていないのか

AIによって実際に実利に結びついている企業は、全体のわずか5%程度にとどまるとされています。 これは、以前の記事(AIを活用する本当の意味とは何か)でも触れた通りです。

ここで勘違いしてはならないのは、「AIが利益に直結しないのではなく、使う側がそれをできていないのが原因」だという点です。

AIそれ自体は利益を生みません。利益を生むかどうかを決めるのは、AIを使う側の知恵です。 AI顧問を標榜するコンサルタントであっても、収益アップを保証することはできません。ツールの便利さを紹介することと、それを実際の利益に変換することは、まったく別の技術だからです。

“紹介型AI顧問”というビジネスモデルが淘汰される理由

単にツールの機能や便利な使い方を紹介するだけの”紹介型”コンサルティングは、次の3つの理由から、構造的に長続きしません。

AIツールの使い方を紹介するだけのコンサルティングは、情報が民主化されるほど価値を失っていくため、いずれ淘汰されます。

  • 情報の民主化とツールの自動化:AIの操作や連携は日々直感的に進化しており、以前は専門知識が必要だった「プロンプトの調整」や「ツールの組み合わせ」も自動化されつつあります。無料の活用ノウハウがネット上に溢れる中、単なる知恵の差による情報格差ビジネスは、すぐに成立しなくなります。
  • 本質的な課題とのズレ:企業の利益を増やすための本質的なボトルネックは、「ツールの操作方法」ではなく、「既存の業務プロセスをどう再設計するか」「組織の人間をどう動かすか」です。ツールの紹介だけでは社内の慣習に阻まれて成果が出ず、クライアント側も次第に「費用対効果が合わない」と気づいていきます。
  • 「導入」から「成果」への課金シフト:珍しいツールを教えるだけでお金がもらえた初期のブーム期が過ぎると、市場は「その結果、どれだけコストが減り、売上が伸びたか」という実利でしか評価しなくなります。

月額固定費のAI顧問契約が成立しにくい理由

一般論として、企業が業務効率化を目的にAI関連のコンサルティング費用を毎月支払い、さらに全社的なAIツールのライセンス費用も別途負担するとなると、年間ではかなりの規模の投資になります。

このコストを回収して利益を出すには、単に「作業が少し早くなった」という程度では到底足りず、実際に人員を減らせた、あるいは残業代を大きく削減できたといった、直接的な人件費削減につながる成果が必要です。

しかし、ツールの使い方を教えるだけのコンサルティングでは、この投資対効果を出すことは容易ではありません。理由は次の通りです。

  • 浮いた時間が、新たな売上を生む作業に回らない限り、会社の支出は1円も減らない
  • コンサル料とAIツールのライセンス料という「二重の固定費」が発生する一方、得られる効果は「個人の作業効率アップ」という目に見えにくい変数にとどまる
  • 一度ツールの導入やプロンプトのテンプレート化が終われば、翌月以降にやることがなくなり、費用を払い続ける動機がクライアント側になくなる

「守りの効率化(コスト削減)」だけを切り口に、実態の伴わない高額な費用を取り続けるモデルは、早々に限界を迎えることになります。

AIを本当に利益に変えるための「ずらしの技術」

では、AI顧問を名乗るコンサルタントに頼らず、AIを本当に利益に変えるにはどうすればいいのでしょうか。ここで必要になるのが「ずらしの技術」です。

ずらしの技術とは、人間のひらめきや実際の経験から得たノウハウを使って、AIの便利さや効率性を、相手がお金を払いたくなるニーズに橋渡しするためのパイプラインの役割を果たす技術です。

AIそのものは、便利さや効率性という”素材”を提供してくれるだけです。その素材を、実際にお金が動くキャッシュポイント(相手のニーズ)にどう結びつけるかは、人間の経験とひらめきに委ねられています。この橋渡しの部分こそが、AIを使いこなせる人と、使いこなせない人を分けている本質的な違いです。

AIを顧問にすることを教える顧問は必要ありません。必要なのは、AIという素材を自分自身の経験・ノウハウでずらし、利益につながる形に変換する技術そのものです。


本記事は、20年以上のビジネス経験と実際の業務効率化ツール活用の現場から得た知見をもとに執筆しています。特定のサービス・コンサルティングの利用を推奨・否定するものではなく、情報提供を目的としています。